バイクと桜、穴場スポット巡り

外出自粛が続いていたあの頃。家の中に閉じこもる毎日は、どこか色がなくて、カレンダーをめくるのも億劫になっていました。そんな時、「近所をツーリングするくらいなら密にもならないし、いい気分転換になるんじゃない?」と提案してくれたのがパパさんでした。

パパさんはもともとアメリカンバイクで駅まで通勤するライダー。その日はじめて後ろに乗せてもらったのですが、走り出した瞬間に世界が変わりました。ヘルメット越しに感じる風の匂いや、ダイレクトに伝わるエンジンの鼓動。何より、「天井がない」という開放感に衝撃を受けたんです。見上げれば空一面が自分のものになったような感覚。あの日を境に、私はすっかりバイクの虜になってしまいました。

それからは、どこへ行くのもバイクが相棒です。 時には高速道路に乗って遠出をしたり、帰りが遅くなって真っ暗な夜道を心細く、でもどこかワクワクしながら走ったり。不便ささえも楽しみに変わる、不思議な魅力がバイクにはあります。

そして、バイクに乗るようになってから芽生えた、ある「夢」がありました。 「満開の桜並木の下を、この開放感と一緒に駆け抜けたらどれほど綺麗だろう」

それからというもの、春が来るたびに各地の桜の名所を巡りました。有名なスポットももちろん素敵でしたが、私の心にある「理想の桜並木」にはなかなか出会えずにいたんです。

ところが今年、ついに見つけてしまいました。 会社の同僚がこっそり教えてくれた、とある工業団地の大通り。そこは観光地でもなんでもないけれど、知る人ぞ知る「超穴場スポット」だったんです。

残念ながら、今年は天候に恵まれなかったりタイミングが合わなかったりで、最高の状態で訪れることはできませんでした。でも、下見がてら通りかかったその道には、私の理想とする景色が確かに眠っていました。

「来年こそは、この場所で最高の桜吹雪を浴びながら走りたい」

今はまだ葉桜になった道を思い出しながら、来年の春を心待ちにしています。一面のピンク色に包まれるその日まで、またパパさんと一緒に、この風を切る感覚を楽しんでいこうと思います。